なんばー20:ふゆ

春は嫌い。

足元でうねうねするあいつら。足元注意。桜の木の下を通ると突然降ってくるあいつら。頭上注意。

どこを見て歩けばいいのかしら?

木についているときは、みんな綺麗だ綺麗だなんて持て囃すのに、地面に落ちたらもうゴミ扱い。けちょんけちょんに踏まれて、茶色になる花びら。雨が降ったらべちゃべちゃ。なんだか、悲しい。一週間の命。セミよりも短い青春。それでもまた1年後にはみんなが騒ぐ。

 

夏は嫌い。

ぴかぴかの太陽。連続して日に当たれるのは10分。それ以上直射日光にあたると回復するのに1日かかる。

明るい時間が長い。朝、目が覚めて外が明るいと寂しくなる。寝る前は真っ暗だったのに、わたしが寝ている間に、わたしが知らない間に、外はいつも通り1日が始まっていて、わたし一人だけ置いて行かれた気分。外はキラキラしてて、私だけがひとりぼっちみたい。

かといって、キラキラしたいかと言われるとなんとも言えないんだけど。

 

秋は嫌い。

春とはまたちがううねうね。これ見よがしな夕日とか、色づいていく木々とか、なんだか、狙っているのかしら?

 というか、今秋について5分くらい考えたけれど、なんも出てこない。うん、おわり。うすっぺらってことよ。

 

冬は好き。

まだ暗い朝。息をすると白くなる空気。あ、わたし生きてるんだ、なんて思ったりして。きーんと冷たい空気と、色の無いあの独特な雰囲気が、媚びない寂しさぽくて良い。寂しくなるにはもってこい。

悲しい思い出と言ったら必ずこの季節だけれど、悲しいから嫌な記憶かと言われたらそういうわけではない。結局最後は一人だな、なんて思うけれど、そういうのってどこか安心する。自分の帰る場所が決まってるみたいな。

 

どうして春夏秋冬なんだろう。

一年の始まりは1月だから冬なのに。昔の暦では1月は春だったのかな。

ケーリーハミルトンを、先に発見した年上のハミルトン氏を敬してハミルトンケーリーと呼ぶべきだ、なんて唱える人がいるのなら冬春夏秋と呼ぶべきだと声を大にする人が一人くらいいても良いと思うんだけど。

 

なんていう、どうでもいいはなし。